円卓の上のナプキン

円卓の上のナプキン理論」というのをご存知でしょうか。ディナーの場で複数の人間が円卓に座っているとします。そして円卓の上には左右均等にナプキンが並んでいます。さて、ここでは右側のナプキンを使うのが正解でしょうか。左側のナプキンを使うのが正解でしょうか。んー悩みますね…。おそらく誰もが周囲を観察して何が正解かを探り始めるでしょう。そこである人が右側のナプキンを取るとします。そうすると他の人も堰を切ったように右側のナプキンを取っていくのです。逆に最初の人が左側のナプキンを取ったとすると、他の人も左側のナプキンを取り始めます。これが円卓の上のナプキン理論。つまり、最初にアクションを起こした人の行動が、その場のルールを作るということです。言い換えれば「最初に行動を起こすことによって、その人が場の主導権を握る」というでもあります。

円卓の上のナプキン理論が活用される場面

この理論は様々な場面で使用されています。例えば握手。最初に手を出すことで、私が主導権を握っていますよという暗示をかけることができます。また、会議の場で最初に発言をすることで自分がリードしやすい環境を作ることもできます。そして、この理論の真価が発揮される場面は何と言っても「セミナー」です。昔からあらゆるセミナーでこの理論は使われてきました。常套手段ですから気を付けてくださいね。

円卓の上のナプキン

とある保険セミナー

仮にあなたがとある保険セミナーに初めて参加したとしましょう。「家族もできたしそろそろ入ろうかな」と思ったあなたですが、保険のことがよく分からず、たまたま見つけた「目からウロコの初心者向け保険セミナー」に参加することにしました。会場には50名ほどの参会者が集まっています。セミナーが始まると講師は参加者に対して手を挙げながら質問を投げかけます。「この中で保険のセミナーに参加するのは初めて、という方はどのくらいいらっしゃいますか?」と。あなたは周りを見ながら、恐る恐るちょっと恥ずかしそうに手を挙げます。他に手を挙げた人も同様になんとなーく恥ずかしそうに挙げるでしょう。これはセミナーの序盤ではよくある光景です。

セミナーも中盤にさしかかり、ここで講師が「ここまでで質問がある方はいらっしゃいますか?」とまた質問をします。すると一人の人が手を挙げました。講師がその質問に答えると、それにつられる形で別の数人が手を挙げます。徐々に会場の空気が温まってきたのです。そしてセミナー終盤、講師はある保険商品を紹介します。そして「興味のある方はセミナーの後に相談予約を受け付けるので、良かったら予約してください」とい言ったところで、「では最後に質問を受け付けます。何か質問がある方はいらっしゃいますか?」。するとどうでしょう…10人以上の人から手が挙がったのです。講師は丁寧に質問に答え、終了後、講師と一緒に来ていたアシスタントが相談予約の受付を始めました。15名ほどが並んでいます。それを見てあなたも「自分もせっかくだから予約しようかな」と思い相談予約の列に並びました。

円卓の上のナプキン理論はどこで使われたのか

この保険セミナーで使われた円卓の上のナプキン理論はどこでしょうか。

  • セミナー序盤で恐る恐る手を挙げた場面
  • セミナー中盤で最初に手を挙げた人の場面。そしてそのあとの数名の場面
  • セミナー終盤で10名以上が手を挙げた人の場面
  • セミナー終了後に15名ほどが並んだ場面

言うまでもありませんが、円卓の上のナプキン理論における「最初の人」はセミナー講師ではありません。なぜならセミナーの目的は相談予約を多く獲得ことであり、そのためにはセミナーを盛り上げる必要があり、その盛り上げ役で最も適任なのは「参会者」だからです。参加者が積極的にセミナーに参加することで、そうでない他の人もその場の空気にのまれていきます。質問をする人がいれば、私も質問しようと思う人が増えます。そして予約をしている人を見れば、私もしようかな、と思う人が増えるのです。

つまり、このセミナーにおける「最初の人」は…

  1. 序盤で手を挙げた中の数名
  2. 中盤で質問をした人達(少なくとも一人)
  3. 終盤で質問をした人達(数名以上は混じっている)
  4. 終了後に予約に並んだ人達(数名以上は混じっている)
円卓の上のナプキン

もうお分かりですよね!?

そうです、この人達は「サクラ」です。セミナーを盛り上げるためだけに参加している主催者側の人達です。この人たちがセミナーを積極的に盛り上げることでその場の空気をうまく演出し、場の主導権を握ります。サクラでない一般参加者は、それにつられるように質問をしたり、予約に並んだりしてしまうのです。セミナーにおける「最初の人」は一人ではありません。数名、場合によっては数十名いる場合もあります。偏見かもしれませんが、全員が一般参加者というセミナーというのは割と珍しいのではないかなと思います。

最後に…

最初に行動を起こし場の主導権を握るというこの「円卓の上のナプキン理論」。これは宗教などでも使われます。信者勧誘のためのセミナーやイベントには2~3割はサクラを入れているという話を聞いたこともあります。場の雰囲気にのまれないように、しっかりと「自分はどう思うのか」を持っていただければと思います。名前はかっこいい理論なんですがね…末恐ろしい。